花粉や梅雨の季節、衣類を部屋干しするのに一役買う「除湿機」。最近は多機能なものも多いですね。
冷風機能がついていたり、空気清浄機能がついていたり。
「除湿機は、電気代が月にどれくらいかかるか気になるし、いろんな方式があってさっぱりわからない」
「洗濯物を除湿機で乾かしたいけれど、実際のところはどうなのかな?」
今回は、そんなお悩みにお答えします。
除湿機の種類を知りたい!
まず、除湿機には、主に三つの種類があります。
コンプレッサー方式
コンプレッサー方式はクーラーと同じ原理を使った方式です。
冷風が出るのもこのタイプです。
コンプレッサー方式は電気による熱移動で空気の温度を下げることで、空気の中にいられなくなった水分を集めることで除湿するわけですね。
電気を使うわけですから当然熱は出ます。多くの場合、コンプレッサー式は冷風の出る前面のみ涼しく背面から温風として排熱されます。
そのため背面からの排風をうまく処理できないと、室温は上がっていきますのでクーラーがわりになるかといえば向いているとはいえないでしょう。
また空気を冷やして水分を抜くという特性上、すでに空気が冷えている冬場は性能的に役割を果たしにくくなります。
つまり、ある程度温度がある季節(20度以上)にしか向かないのです。
年中使いたい方には、あまりお勧めできませんが梅雨・夏場にはよいでしょうね。
気になる室温の温度上昇は2〜5℃程度で、一般的な重量は10〜15キロ程度。
重さがあるので、しょっちゅうの移動には向きません。
コンプレッサーの名の通り、騒音もそれなりにありますので寝室向きではないでしょう。
デシカント方式(ゼオライト式)
デシカント式は吸湿素材のゼオライトを使ったタイプです。
ゼオライトの入った円盤に風を当てることで吸湿し、温風を当てることにより内部で乾燥させ、また吸湿させるのです。
温風を使うので、コンプレッサー方式より倍以上温度が上がります。また、消費電力も二倍から三倍程度かかると言われています。
このタイプは冷風が出ません。
比較的軽量で、一般に5~10キロなので、持ち運びができます。
空気を冷やして水分を除く訳ではないので、低温の場所でも使えます。
ハイブリッド式
コンプレッサー方式とデシカント方式のいいとこ取りをしたものがハイブリッド式です。
温度と湿度を見極めて運転比率を自動で選ぶので、省エネにもなります。
温度上昇は場合によりますが、1~8℃程度。
梅雨時はもちろん、冬も使えるので年中使えます。
冷風付きの除湿機はあるの?
あります。
人気なのはコロナの冷風付き除湿機で、コンプレッサー方式となっています。
冷風が出るタイプは、コンプレッサー方式です。
コンプレッサー方式がエアコンと同じ仕組みを取っているからなのですね。
仕組みの違うデシカント式では、冷風は出ません。
後ほどご説明しますが、冷風は出ますが背面から放熱しますのでエアコン代わりにはあまりなりません。
除湿機を使用した時の電気代が知りたい!月平均はいくら?一年では?
コンプレッサー方式の消費電力から計算してみましょう。
コンプレッサー方式の一般的な消費電力は、200~350程度。
今回は消費電力量を元に計算してみますね。
ご家庭の電気料金により異なりますが、1kWh=25円として計算します。
今回は250Wのものだと仮定し計算します。
1kWh=250W(消費電力)÷1000×1h(使用時間)×25(1000Wあたりの電気代)=6.25。
1000W 25円の時、250Wで1時間使うと、6.25円です。
10時間で62.5円ですね。1日使えば150円です。一ヶ月で4500円程度。
一年使えば54000円程ですね。
同じ計算で、デシカント式だと500~600Wですので、500Wで計算します。
1kWh=500W÷1000×1h×25=12.5
単純に考えても、250Wの二倍の500Wですから、消費電力も二倍です。電気代も二倍なのですね。
ですから、1時間12.5円、10時間125円、1日24時間で300円、一ヶ月で9000円。一年で108000円となります。
ハイブリッド方式ですと、ものによるといった印象ですが、両者のいいとこ取りですからデシカント方式よりは安いでしょう。
除湿機で冷風を使った場合の電気代が知りたい
冷風機能がついたものは、コンプレッサー方式となります。
しらべてみると、冷風機能を使った時と除湿機能を使った時は変わりがありません。
カタログに書いてある消費電力をしっかりと確認する事が重要です。
除湿機で洗濯物を乾かしたいのだけど……
除湿機で、除湿して衣類を乾燥できると各メーカーさんでうたわれていますね。
実際はどうなのでしょうか。
まず除湿機は除湿をするものですから、乾燥した部屋に置くので衣類が乾燥するというわけです。
気になるのが乾燥時間。乾燥時間が長いほど、洗濯物についた菌が繁殖するのでにおいが出ます。
ですから、衣類乾燥を目的に除湿機を使うのならパワフルなものを使うか送風機能を同時に使う、あるいは扇風機を同時に使う必要があるでしょう。
乾燥時間が短縮されれば、トータルで見れば安くなるという意見もありますよ。
パワフルなものを使う時には、それなりに大きく、消費電力があるものを選ぶことになると思いますので、電気料金は高くなります。
送風機能付きのものはデシカント方式、ハイブリット式となります。
ワイド送風機能など、衣類乾燥に特化した除湿機もあります。
冷風機能付きはコンプレッサー方式となります。(すべてのコンプレッサー方式の除湿機に搭載されている機能ではありません。)
冷風ですから、ドライヤーの冷風と同じように、ゆっくりと乾くことになります。
ただし、コンプレッサーから出てくる冷風は、熱交換器に水分をつけた後の冷風になるので、多少の期待はできるかもしれません。
除湿機を選ぶ時の注意点
まず、どの部屋でどのように使いたいかを明確にしてください。
寝室に置くならコンプレッサーはお勧めできませんし、こもった部屋で使うなら発熱量の多いデシカント式は向かないでしょう。
次に消費電力です。
お求めになりたい方式の平均より消費電力の少ないタイプですと、パワー不足を感じてしまうことがあると思います。
省エネタイプにした後、「これでは意味がなかった」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
そこで大体の見分け方をお教えします。
10畳のお部屋で、鉄筋造りで1日5L以上、木造で1日6L以上の吸湿量がありましたら、まず問題ないでしょう。
その数値を大体の目安に、「パワーがあるのかないのか」を見極めてみてくださいね。
数値については、カタログ、メーカーの公式ページなどにも書いてありますし、「価格ドットコム」のようなサイトでも見る事ができます。
「価格ドットコム」ではスペック、口コミ、レビュー、もちろん底値なども調べられます。
また、気になるショップに移動して、購入する事ができ、比較検討にお勧めです。
サイズや重量ももちろん大事ですね。
移動する事がまめにあるなら、デシカント方式やハイブリッド式がお勧めです。
なお、戸棚などに入れられるサイズでお探しなら「ペルチェ式」のものもあります。
「ペルチェ式」は原理がほぼコンプレッサー方式と同じです。
違うのは、「電子冷却素子」、これをペルチェといいますが、冷えた素子の上に結露をさせ、除湿します。
小型なので、狭いところなどには使えるかもしれませんね。
結局、除湿機のおすすめはどれ?
ここまで読まれて、みなさんが思われるのは、「で、結局どう考えたらいいの?」ということだと思います。
もう一度整理しましょうね。
コンプレッサー方式
エアコンとコンプレッサー方式の理屈が、「空気中の水分(気体)を、冷やすことで液体の水にして、空気から除去。その結果、空気は乾燥する」というもの。
エアコンはその際に出る熱を室外機から出します。
エアコンの室外機の前を通ると、「むわっ」としますね。
その放熱が、コンプレッサー方式の除湿機では、冷えた空気と温かい空気が吐き出されるわけです。
コンプレッサーも発熱しますから、出てくる風は温度が高くなりますね。
ですから、「水気を取り出したい空気が、冷やせる程度の温度(20℃以上)なら」「除湿能力は高い」のです。
「コンプレッサーによる騒音・振動が多少なりともある」
「梅雨時・夏場に向いている(=冬場は向かない)」
「デシカント方式より消費電力が少ないので、電気料金が安い」
もしコンプレッサー方式をお買い求めになりましたら、除湿の後は熱交換器に結露しますから、送風モードにしてあげて、カビないように乾かしてあげましょう。
特殊なコンプレッサー方式
コンプレッサーがエアコンと似ていることから、冷風をだす機能があるものがあります。
一般のコンプレッサー方式が温かい空気と冷たい空気を混ぜて排出するのに対して、特殊なものは別々に出せるようですね。
当然ながら、排熱がありますから背面にいれば暑いです。
エアコンがわりになるかといえばちょっと難しいでしょう。
デシカント方式(=ゼオライト式)
デシカントとは除湿剤と言う意味だそうです。
ゼオライトの粒を入れた円盤に風を通し、吸湿剤であるゼオライトによって乾燥させるのです。
吸湿したゼオライトはそのままでは困りますから、温風を当てて乾燥させるのですね。
「(吸湿剤を使っているので)気温による効果の変動が少ない」
「ヒーターを使うので消費電力が多い」
「出てくる風が、コンプレッサー方式よりも、かなり温かい」
「こもった部屋では室温がかなり上がる」
ハイブリッド式
ハイブリッド式は、コンプレッサー方式とデシカント方式のいいとこ取りです。室温上昇は幅があり、1~8℃程度のようです。
一年中パワフルに除湿をします。衣類乾燥にも向いていますよ。
まとめ
「洗濯をして湿った空気を除湿したい」という目的にも、衣類を乾かすために除湿機を使いたい」という目的にも、「いつ」「どこで」「どれくらいの期間」という問いが必要です。
「梅雨や夏場のみ」という方なら、「コンプレッサー方式」か「ハイブリッド方式」。
「年中通して使いたい」という方なら、「デシカント方式」か「ハイブリッド方式」。
「省エネなものが欲しいな」というのでしたら、「ハイブリッド方式」の省エネタイプを選ぶとよいでしょう。
長くなりましたが、花粉にPM2.5、さらに共働きや夜間しか干せないなど、それぞれの「除湿機が欲しい」ご事情があると思います。
みなさんのより良い生活のために、お気に入りの除湿機を、納得して見つけてくださいね。